2023年9月27日(水)、愛媛県地球温暖化防止活動推進センター主催『Mitsukecca(みつけっか。)presents「みんなでつくる!脱炭素ライフ&ビジネス体験ツアー」キックオフイベント』をサイボウズ松山オフィスで開催しました。
このイベントは、「脱炭素と言っても何をすればいいかわからない」という人や企業の声を受け、興味ある方々がより日常で取り組めるつながりの場づくりのプロジェクト Mitsukecca(みつけっか。)の第一弾イベントとして開催し、19名の方にご参加いただきました。
事前調査より、参加者のイベントへの期待値は、脱炭素に関する知識や行動を学びたい、環境にやさしい暮らし方、脱炭素経営の導入や持続可能なビジネスモデル、地域の課題について関心がある、といった声がありました。
こういった声を受けて、イベントは2部構成で、1部は一般社団法人リズカーレ代表理事安形さんをお招きした講演会、2部はワークショップを実施しました。
2部のワークショップでは、参加者の「●●したいこと×地域+環境」からやりたいことや地域のつながりが生まれる事業企画やツアーのアイデアを発表頂き、今後のプロジェクトのツアーにも繋がるアイデアが生まれています。
本記事では「みんなで”気づく”、”伝わる”脱炭素視点」のアイデアと、つながりが生まれた当日の会場の模様をお届けいたします。
脱炭素につながる具体的なアクションとは?気候変動への「緩和」と「適応」の取り組み
イベントの冒頭では、「●●したいこと×地域+環境」に脱炭素の視点から気づきが生まれるよう、事務局から「脱炭素」の視点と本イベントの趣旨を説明しました。
「脱炭素」の視点を取り入れる際に、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガスの排出を差し引きゼロにすることですが、気候変動に対応するためには「緩和」と「適応」の考えが重要です。
「緩和」とは「温室効果ガスの排出を削減し気候変動を抑制する」対策で、節電や省エネ、再エネの活用、温室効果ガスの削減などの取り組みを指し、「適応」とは「避けられない気候変動に備え被害や悪影響を抑える」対策で、避けられない災害に備えたり、高温でも育つ野菜の改良などの取り組みを指します。
参加者の「●●したいこと×地域」に「環境」の視点を入れることで、新たな価値やアイデアに気づく。そこから世の中の動きとつながり、持続可能性が生まれたり、今まで活用できなかった補助金を活用できるようになるなどのメリットをお話させていただきました。
【1部】地域に良いビジネス+環境で持続可能に!一般社団法人リズカーレ安形さんの空き家活用事業
1部では「実際の地域課題解決型のビジネスや資金調達と脱炭素の視点はどうつながるのか?」という事例として、一般社団法人リズカーレ代表理事の安形 真(あがた まこと)さんをお招きし「地域に良いビジネス+環境で持続可能に~空き家×SIBの取組事例紹介~」についてお話いただきました。
安形さんは愛知県の出身で、会計事務所→起業→農業・農家レストラン→まちづくりと様々なキャリアを積み、2018年3月に愛媛県西条市に移住しました。『地域に「挑戦」と「協働」の仕組みを実装する』をミッションに掲げ、ソーシャルビジネス支援、ローカル起業支援を行っています。
現在、西条市SIBを活用して空き家活用のプロジェクトを実施しています。
SIBとは「Social Impact Bond」の頭文字をとったもので、民間事業者が資金提供者から調達した資金をもとに事業を行い、あらかじめ設定した成果目標を達成できれば、行政が資金提供者へ交付金を支払う成果志向の取り組みのことです。
補助金や寄付との大きな違いは、市民から出資者を募り、「投資」による「つながり」が生まれることを目指していることです。
安形さんがSIBで行っている事業は、事業用の空き家バンクをつくることをゴールとしていますが、DIYコミュニティを作って皆でリフォームすることでつながりを生むことも目的としています。
そもそも、安形さんが空き家活用の取り組みをはじめたきっかけは、年間30件の起業の相談と移住の相談をうける中で、「事業の場所が決まれば起業したい」もしくは「移住したい」人がいるのに、場所がないだけでチャレンジの機会を逃している現状を解決したいと思ったからとのこと。
西条市で挑戦したい人を応援するために、空き家だけではなく応援する人ともつながれるSIBは、安形さんの想いを叶える手段としてぴったりでした。
安形さんのやりたいことと、空き家問題という地域課題がつながったこのプロジェクトにも、実は脱炭素の視点が入っています。
空き家活用の取り組みは、建て替えより・CO2排出量を1/33に、廃棄物発生を1/22に抑えることができ、環境負荷を減らすという効果もあり、脱炭素の視点も取り入れた取り組みであるとも言えます。
「自分のやりたいこと×地域課題」の取り組みの中にも脱炭素の視点を入れることができ、その視点によってより持続可能な価値を社会に還元できるということに気づくことができました。
【2部】やりたいこと×地域課題+環境?!脱炭素の視点を入れたツアーアイデアを考えるワークショップ
1部の安形さんの講演を踏まえ、参加者と一緒に「やりたいこと」と「地域課題」をかけあわせ、「みんなで気づく脱炭素の視点」を入れたツアーアイデアを考えるワークショップを行いました。
ワークショップは、下記の流れで実施。
- 3つのグループに別れて、やりたいことと地域課題をふせんに書く
- やりたいことと地域課題に、脱炭素の視点をいれたツアーのアイデアを発表
脱炭素の視点は、あらかじめ事務局の方で『気候変動に対応するための「緩和」と「適応」』の具体的な取り組みを付箋にまとめたものも活用し、参加者の皆さんには「やりたいこと」と「地域課題」を出してもらい、それらの掛け合わせによるアイデアワークを行ってもらいました。
やりたいことには、二酸化炭素排出ゼロ旅行、バイオマス発電、耕作放棄地の再生利用などといった具体的な案から、課題を見極める能力を身につける、適度に休みながら仕事をするなどといった個人の価値観や想いまで多岐に渡るたくさんの「やりたいこと」が見つかりました。
地域課題はくらしにもビジネスにも直結すると考えている参加者もおられ、イノシシ被害、高齢化、若者の流出などといった身近な課題から、脱炭素を知らない、世界と日本のつながりがピンと来ていないなどといった世の中の動きについて感じている疑問を「地域の課題」として見つけることができました。
最後に、集まった「やりたいこと」と「地域課題」と脱炭素の視点を組み合わせた事業やツアーにつながるアイデアを、3つのチームより発表。
3つのグループから、1つずつ事業やツアーにつながるアイデアが生まれました!
愛媛の魅力発信×地域の祭りの存続という地域課題に「地産地消」の脱炭素の視点を入れたアイデア、イノシシなどの獣害をなくしたい×里山の衰退という地域課題に「食料の確保」の視点を入れたアイデア、フードロス×農業の担い手不足という地域課題+「廃棄物の活用」の視点を入れた地産地消のサブスクのアイデア、など様々なアイデアが生まれています。
まとめ
Mitsukecca(みつけっか。)の最初の企画として実施された本イベントは、高校生、大学生、フリーランス、会社経営者、企業に勤めている方、自治体職員など、様々なバックグラウンドをもつ19名の方に参加していただきました。
立場が違うからこそ生まれた3つのツアープランが生まれ、脱炭素への取り組みが具体的な行動へとつながる場として、期待できるイベントであったと言えます。
印象的だったのは、ワークショップが終わった後も参加者が会場に残り、名刺交換をしたり歓談する様子が見られたこと。また、これから行うイベントに脱炭素の視点を入れてみたい、異業種の方々との交流でより新しい視点で見ることが出来たといった嬉しい感想も頂きました。
今後 Mitsukecca(みつけっか。)ではツアープランをまとめ、今回集まった人や、興味がある人に向け発信を行い、この場を通じて見つかった新しいアイデアが、出会った人とともにつながる場にしていきたいと考えていますので、ぜひご注目ください!
脱炭素につながる、より日常で取り組めるつながりの場づくりプロジェクト Mitsukecca(みつけっか。)とは▶